先生がいてくれるなら①【完】


カップを2つ用意して、琥珀色の液体を注ぐ。


「砂糖もコーヒーフレッシュも無いけど、ブラックでも飲めるか?」

「先生、さっきから私のこと子供扱いしすぎです。私、ブラックでも飲めますから」


私は先生の手からコーヒーを受け取ると、いただきます、と小さく言ってカップに口をつけた。


熱いから一度にたくさんは飲めないけど……口の中にコーヒーの芳醇な香りが広がる。


コーヒーって、こんなに美味しい飲み物だったんだ。


缶コーヒーを買うことはあるしカフェとかでコーヒーを頼むこともあるけど、先生が淹れてくれたこの飲み物とは完全に別物だ。



──なるほど、先生が中毒になるのも分かる気がする。