先生がいてくれるなら①【完】


「言わないとやめないから」

「な、何を……」

「何か言いたい事あるんだろ? それ言わないと、やめないから」


うー、この人は……悪魔だ、暴君だっ。


「……く、くすぐったいから、それ、やめて下さいっ」


「ふうん、くすぐったいんだ?」

「くすぐったい、です……」


先生は「そう」と言いながらもう一度手の平を撫でてから、やっと絡めた指を解いた。



繋がれていた手が離れるのがちょっと寂しくて先生を見上げると、先生は困ったような表情で微笑みながら、離しかけた私の指をもう一度先生の手の中に閉じ込めて、キュッと優しく握る。



先生のその表情と仕草は、さっきの少し意地悪な笑顔とは違ってなんだかとても優しくて……。


愛おしい物を愛でる時のそれのように思えるのは、私の勝手な想像で、妄想で、期待、なのかな……。