先生がいてくれるなら①【完】


先生は海岸沿いに降りてくるための階段に座らせるように私を降ろし、どうやらユキさんに渡されていたらしいタオルを私の足の下に敷いて、私の足を片足ずつ丁寧に拭いた。


私の手からサンダルを受け取って履かせてくれる。


茫然とする私は先生にされるがままで、どう言葉を発すれば良いのか分からなくて……。


私にサンダルを履かせ終えた先生が、そのままフッと顔を上げる。


先生の綺麗な瞳に真っ赤になって困惑する私の顔が映り込んでいた。


「あ、あの……ありがとうございます……」


先生はタオルの砂を払い、自分のズボンのポケットに無造作に突っ込んで立ち上がると、階段に座ったままの私に向かって手を差し出した。


「戻ろうか」


恐る恐る先生の手に自分の手を乗せると、先生が私を引き上げて立たせてくれる。


先生は私の手を取ったまま──また指先を緩く絡めて、お店の方へ向かってゆっくりと歩き出した。