先生がいてくれるなら①【完】


「わわっ、す、すみませんっ」

「だから危ないって言っただろ?」


先生は私を抱き留めたまま、私の耳元でハァ、とため息をついた。


先生の吐いた息が私の耳のそばの髪にかかって、髪がほんの少しだけ、ゆらりと揺れる。


それほどまでに近い距離に先生の顔があるのだと思うと、私の心拍数が一気に最速まで駆け上がった。


「お前ホント言う事聞かないし、危機感も無さすぎ」

「う……すみません」


背中に回された先生の手に少し力が込められ、持っていたサンダルが私の手元でブラリと揺れた。