先生がいてくれるなら①【完】


私がキョトンとしていると先生は波が引いた瞬間に私についと近寄って私の手を取り、また濡れない所まで手を繋いだまま自分だけ移動した。


「強い引き波が来たら持っていかれるぞ」


あ、あぁ、なるほど、そう言うことですか。


なんだ、ちょっとだけ……ほんのちょっとだけ、期待しちゃったよ。


でも、まぁいいか……手を繋いでいる事に変わりは無い。



手を繋いでいる、ただそれだけで、嬉しい。


先生と一緒にいられる、ただそれだけで、幸せ。



時々来る大きな波で、私の足がふくらはぎまで濡れる。


すると、先生が手を少し引いて私を波打ち際から引き離そうとする。