「騙してねぇっつーの」
「明莉ちゃ~ん、孝哉に何かされたらすぐ私に言うんだよ?」
「えっ、えっと……」
「何もしねーわ、人聞きの悪い」
「……ふ~ん?」
先生はユキさんの腕の中に収まっている私の手を掴んで、ユキさんから引き剥がした。
「散歩して来るから」
「えっ、今から?」
「晩飯までの間」
先生の言葉にユキさんは慌てて私たちを引き留めた。
「そのまま行っちゃダメよ! 明莉ちゃんちょっと待ってて、日焼け止め取って来るから!」
ユキさんは慌ててバックヤードらしき場所に入って行き、日焼け止めと麦わら帽子を持って戻ってくる。



