先生がいてくれるなら①【完】


「騙してねぇっつーの」

「明莉ちゃ~ん、孝哉に何かされたらすぐ私に言うんだよ?」

「えっ、えっと……」

「何もしねーわ、人聞きの悪い」

「……ふ~ん?」


先生はユキさんの腕の中に収まっている私の手を掴んで、ユキさんから引き剥がした。


「散歩して来るから」

「えっ、今から?」

「晩飯までの間」


先生の言葉にユキさんは慌てて私たちを引き留めた。


「そのまま行っちゃダメよ! 明莉ちゃんちょっと待ってて、日焼け止め取って来るから!」


ユキさんは慌ててバックヤードらしき場所に入って行き、日焼け止めと麦わら帽子を持って戻ってくる。