先生がいてくれるなら①【完】



「誰が性格悪いって、リョウさん?」


先生が、リョウさんと言う人をジロリと睨んだ。


しかしリョウさんと呼ばれた人は、どこ吹く風と言った表情で先生と私を交互に見る。


「久しぶりに顔出したと思ったら珍しく女の子連れてるなんて、天変地異の前触れか?」


「リョウさん、それは俺に喧嘩売ってるんですか?」

「お前に喧嘩売ったら命が無くなるからなぁ。ま、いいから紹介しろよ」


先生は小さなため息の後に私の事を「俺の教え子」と簡潔すぎる紹介をした。


ちょっと待って下さい先生、その紹介の仕方は誤解しか生みません!


そうツッコミたかったけど、とりあえず私の自己紹介が先だ。


「あの、立花明莉と言います」


私が会釈をすると、リョウさんは案の定、“先生の教え子” と言う肩書きに固まってしまったようだった。