先生がいてくれるなら①【完】


海沿いの道をしばらく走ると、先生は道をついと逸れて何かのお店の駐車場へと車を停める。


「お茶でもしようか」


1階が雑貨屋、2階がカフェになっているお店。


カフェの窓際からは海が遠くまでよく見える。


私たちは、海が見える窓に向かって座る席に、隣同士に座っていた。


車の運転席と助手席より距離がずっと近くて、それだけでドキドキしてしまう。



「素敵なカフェですね」

「気に入った?」

「はい! 海がよく見えるし、おしゃれだし、コーヒーもケーキも美味しいです」


私がそう言うと先生は頬杖をついて「ふーん」と意味深に笑った。


「俺が淹れるコーヒーとどっちが美味しい?」


先生はその綺麗すぎる顔に、わざとらしい満面の笑みを浮かべてニコニコしている。