先生がいてくれるなら①【完】


そして気がつくと、海が見えていた。


「……海だぁ」


今日はとても天気が良いので、午後の日差しを浴びて水面がキラキラと眩しいぐらいに光っているのが見える。


夏と言えば! 海、お祭り、花火──!


でも今年はそのいずれも楽しめそうにないなって諦めていたから、私はこうやって車から見られただけでもとても満足だ。


「先生、海がっ、キラキラで綺麗ですっ」


私が興奮したようにそう言うと、先生は「子供かよ」と笑う。


でもその表情は私を馬鹿にしたような顔ではなく、むしろ先生も少し嬉しそうな楽しそうな、そんな表情だった。