正論すぎるせいで返事が出来ない下級生ちゃんに私は「クラスと名前を聞いてなかったから教えて」と言うと、なぜか一歩後ずさった。
「……ね、教えて?」
私が一歩前に足を出すと、相手は再び一歩下がる。
「ねぇ、1年何組? どちらさん?」
再び一歩前へ、そして相手は一歩後ろへ。
なんか変な流れになって来たなぁ、もう帰って良いかなぁ。
「私のは知ってるのに、そっちのは言えないんだ? それって不公平じゃない?」
ジリジリと一歩ずつ後ろに下がる下級生ちゃん達。
なんか私の方が悪い事をしてるみたいな気分になって来た……うん、もう帰りたい。
でも、今は引き時じゃない。
「ね、教えて?」
「……い、」
「……、い?」
「……1年8組 北沢砂絵理ーーーーーっ!」
悠斗の事が好きな下級生ちゃんは、自分のクラスと名前を叫びながら走り去って行った。
一緒にいた彼女の友達も、慌てて「砂絵理、待ってー!」と叫びながらバタバタとその後を追う。



