先生がいてくれるなら①【完】



最初はただ気になる、気になるけど気に入らない、それだけだったのに。


いつの間に、こんなに嫉妬するほど好きになった?


自分を見失うほど好きになっている自分に、正直驚いている。



倉林との関係を問いたださずにはいられない。


みっともない、嫉妬。


生徒相手に大人げなく本気になって……。



仮にも俺は教師という立場なのに、走り出してしまった想いは、もう止める事が出来そうに無い。



立花の右手を掴んで顔を覗き込んだが、反対の手で必死に隠して顔を逸らせてしまい、表情が見えない。



どんな表情で、いま何を思ってる?



続く沈黙。

少し震える、立花の手。



「──先生、お願い、離して下さい……」



震えて掠れる声で言われ、俺はハッと我に返った。