先生がいてくれるなら①【完】


立花はこちらに背を向けているので顔は見えないが、倉林の表情は怒っているように見えた。



それを見ただけで、俺はだいたいの事を察した。


ショッピングモールでのことを問いただしているに違いない。


しばらく様子を伺っていたが、ふいに倉林が掴んでいたらしい立花の手を引っ張って胸に抱き留めた。




──っ、アイツ……。




ムカムカする。


俺は今度こそ踵を返し、その場を後にした。