ひとりほくそ笑んでいると、前方に見たことのある人影が見えた。


倉林と、サッカー部の友人数名、だ。



──あぁ。そう言えば今日の目的の半分は、これだった。



倉林の方が先に立花を見つけていたらしく、こちらを睨んでいる。


と言うことは、手を繋いで引っ張ったりしていた辺りから、見られていたかな。



それなら話は早い。



立花の腰に回した手に少し力を入れてさっきより更にこちらに抱き寄せ、親密そうに話しかけるふりをする。


アイツとはなるべく目を合わせないように、そして近づきすぎないように立花を誘導しながら歩いた。


倉林の視線がこちらに集中しているのが、見ていなくても分かる。


立花は相変わらず真っ赤になってあわあわしてるし、俺はここ最近で一番楽しんでるかも知れない。




うん、今日は良い日だったな。