随分と人が増えてきたな。

時計を見るともう11時半だ。


はぐれないように再び立花の手を取り歩き出す。



しかし──立花がちゃんと隣を歩かない。



おいおい、そんなに距離をあけると邪魔になるだろ。


何度か、引っ張っては離れ、離れては引っ張りを繰り返して、俺はついに痺れを切らして立花の腕をグイッと引っ張り、腰に手を回した。



どうだ、これで離れまい。



俺が勝ち誇ったように立花を見下ろすと、彼女は口をパクパクさせながら首まで真っ赤になって慌てていた。


ふはっ、面白すぎるだろ、コイツ!