立花は自分で買おうと思ったのか鞄から財布を取り出して溜め息を吐いていたけど、俺はそれを無視してさっさと支払いを済ませた。
「ちゃんと自分で払います」
そう言う彼女を黙らせるために「はぐれるなよ」と言って強引に手を握り、歩き出した。
あわあわしている立花が、なぜか可愛いくて笑いがこみ上げる。
他に欲しい物が無いかと聞くと「マグカップを買いたい」と言うので、そう言えば家には自分用の食器しか無かったな、と思い出し、俺も同じ店で数点の食器を買って、自分の分は後で送って貰う手配をした。
立花が選んだマグカップは素朴だけど丸くて雰囲気のあるほっこりしたデザインのもので、もっと子供っぽいのを選ぶかと思っていたので、少し意外に思う。
お気に入りのものを見つけた時の嬉しそうな立花の表情がとても印象的だった。
ここでも自分で払おうとする立花の頭を叩いたり撫でたりして遊びながらうまくかわし、店の外へ連れ出す。



