先生は廊下の一番奥の部屋の前で止まり、鍵を開けた。
「はい。先に中に入って」
「えっ。はいっ」
慌てて玄関に入り、靴を脱いで中に入った。
「リビングで適当に座ってて」
先生の指示通りリビングにお邪魔する。
──マンションに着いたときから思ってたけど……
ここって、超、高級マンション……。
エントランスとかめちゃくちゃ豪華だったし、この部屋だって無駄に広いし、内装が高級感あふれ出てて、私のような庶民には心なしか空気が薄く感じる……。
「おーい、座ってて良いって」
「あっ」
うっかり、呼吸すらも忘れて立ち尽くしてた。
「お前、何飲むー? お茶かアイスコーヒーか……って、だから、座ってろって」
まだ立ったままボーッとしている私の頭に先生の手がポンと乗る。
「え、あ、んあ?」
「なに呆けてんの」
「あ、だって、なんかいろいろ高級すぎて、空気が薄いです……」
「は? 空気って。ここはヒマラヤか。いいから座ってろって」
先生は呆れて苦笑いした。



