──って言うか……、手っ!




再び繋がれた手が気になって先生と少し距離をあけてしまう。


すると、先生が手をグイッと引っぱった。



「あんまり離れるな、人が多いから邪魔になる」



その通りなんだけど、恥ずかしくてついつい離れてしまう。


そして、また引っ張られる。


その繰り返し。


私があまりにも何度もそれを繰り返すので、先生はしびれを切らして更にグイッと引っぱった。



「!!!」



私は横を歩く先生を見上げて、口をパクパクさせる。


せ、先生の、て、手が……っ、私の、こ、こし、腰にっっっ……!!!


「お前ね。飼い犬でももうちょっとちゃんとピッタリ隣歩くぞ。お前は飼い犬以下か」

「~~~っっっ!」


声にならない声を発する私の腰に手を回し、先生は涼しい顔をしている。



えっ、何これ!?



ちょっともう私だめだ、多分もう私は死ぬんだ、死ぬ前に神様がいたずらして見せている夢なんだコレは。


さよなら私の人生、さよなら私の生きた地球──



ほとんど魂の抜けた状態の私を見て爆笑する先生も、もはや私の目には全く入ってこなかった……。