「うーっ」
「ぷはっ、お前、野良犬か!」
唸る私を見て、笑う先生。
うっ。
そんな風に笑うと、……先生ちょっと可愛い。
──って、いやいや、そうじゃなくて。
お会計っ!
「先生、あのっ」
「ちょっと早いけど、混む前に食べようか」
「えっ? あ、もうそんな時間ですか?」
試着したりマグカップ選んだりしてるうちに、時刻は11時半になっていた。
確かに少し早いけど、家を出たのも早かったし……ちょっとお腹すいたかも。
先生は私の返事を待つまでも無く、私の手を再び取って歩き出す。
そして私は、また手を繋がれてしまった事に気を取られ、すっかり商品の代金を払い損ねたことを失念してしまった。



