あぁ。散財。
ま、いっか。そろそろ服を買おうと思ってたし。
今日買うのは予定外だったけどね。
私は元の服に着替え、お姉さんにお店の服を渡す。
「こちらへどうぞ~」とレジへといざなうお姉さんの後を、とぼとぼと付いて行った。
バッグからお財布を出そうとすると、スッと目の前が暗くなる。
顔を上げると先生が私の前に立って、会計を始めた。
「え? え???」
ひとり狼狽える私をよそに、先生は支払いを済ませてしまった。
「どうもありがとうございました~」
ご機嫌なお姉さんから紙袋を受け取った先生は、茫然と立ち尽くす私の腕を引っ張って店を出る。
「あっ、あのっ、先生っ!?」
「なに」
「お、お代……」
「は?」
「え、だって、あの、ちゃんと自分で払います……」
私がお財布を出そうとするのを先生は制止して、私の手を握った。
「人が多くなってきたから、はぐれるなよ」
「……っ!」
心臓がまた、ドキドキと早鐘のように鳴り始める。



