先生がいてくれるなら①【完】


ふと、先生の足が止まったので、私は先生の視線の先を確認する。


えーと。女性向けファッションのお店……?



「お前、こう言うの似合いそう」

「──は?」



先生はハンガーに掛かっているワンピースを手にとって、私の前にかざす。


「え、え、えっ、な、なんですか!?」

「こう言うの、好みじゃ無い?」

「いえ、好きですけど……え、え???」

「あと、これとか」

「は、はい!?」



先生は次々とスカートやらトップスやらを手に取り私にあててみる。


わけが分からず慌てふためく私。



ショップの店員さんが寄ってきて「ご試着も出来ますよ~」なんて私に声をかけてきた。


「着てみたら?」


先生はそう言って、持っていた服を店員さんに手渡した。


「試着室へどうぞ~」

「えっ、えっ!?」


店員のお姉さんに促され試着室へ向かう途中で先生の方を振り返ると、先生は無表情でひらひらと手を振った。


い、意味が全く分からないんですけどっ!?