先生がいてくれるなら①【完】


私が諦めの境地に達したところで、先生の足が止まった。


ふっ、と私の方を振り返る。


「ちゃんとついて来てるか?」

「は、はいっ」


私のこと、覚えてたんだ。


「なんでそんな後ろ歩くんだ? 俺と歩くのが嫌か?」

「め、めっそうもございませんっ!」


返事が改まりすぎた口調になってしまった事でますます怪しく聞こえたようで、先生はムッとした顔になった。



嫌そうな顔するぐらいなら、連れて来ないで欲しい。


先生はどうせ私のことなんて “下僕” ぐらにしか思っていないに違いない。



くそ~、暴君め~。



不満を脳内で先生にぶつけていると、先生は文房具店に入っていった。


私もその背中を追って中に入る。


先生は私の方に振り向いて「文房具で何か欲しい物ある?」と尋ねた。



思いもよらないことを突然質問されたので私は何も思いつかずただブンブンと首を横に振ると、先生は会計を済ませて店を出た。



私は再び先生の背中を追いかける。