生化学の講義が終わる頃には、頭も体も痛すぎて、
倒れ込むかのように机に頭をつける。
講義が終わった後は、他の学生たちの声が聞こえる。
大きな声で喋る人はいないけど、それでも話し声が聞こえる度に、頭がガンガンする。
このままだと本当に倒れるかもと思ったとき…
「あの、大丈夫ですか…?」
そんな声がした。
誰だろう………?
顔を上げると、そこには見覚えのある人がいた。
高校生のときに
一度会ったことがある美月の彼氏の健人さんだった。
美月の話では、医学部卒業したあとに、
ここの大学院に進んだって聞いている。
「結愛ちゃんだよね………? 」
「はい。
すみません、もう次の講義行きますね 」
私のこと覚えていたみたいだったけど、周りを見渡すと、他の大学院生の人たちもいて、
プロジェクターもあり、何かの研究発表をするらしい
邪魔にならないように、
どうにか立ち上がって、出ていこうとする。


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