「息吸ってね 」

口に吸入器が近づけられて、
蓮の言葉と同時に白い粉が出てきた。

吸いたくなくて、顔を避けてしまう。
けれど、蓮にガッチリと固定されてしまった。


「ゴホッ………ハァハァ… 」


「いい子。いい子。ちゃんと吸ってえらいよ。
もう少しだから 」


子どもに話すような口調だけど…、

蓮に優しい言葉をかけられると心が落ちついて
不思議と頑張れてしまう。


「はい、終わり 」


「蓮、ありがとう 」


吸入器が離れると、呼吸がかなり楽になっていた。



「おっ、苦しいことしたのに
お礼言うなんて結愛も成長したね 」


「苦しかったけど、蓮が嫌なことするときは、私を助けるためって知ってから 」


「ハハ…じゃあ、
今から点滴も頑張る? 」


「それは絶対無理 」


プイと顔を反らしてみる。