「結愛、お腹少し触るね 」

結愛を処置室のベットに寝かせてから、服を捲って触ってみる。


「触って特に痛いところある? 」


「…触っても変わらない………でも、ずっと痛いの…」


食中毒以外の可能性も考えて一応触診もしてみた…
でも、触ることで痛みが増すわけではないから、やっぱり原因は細菌だな


血を取って調べないと…


「結愛、採血するね。その後痛み止めも打つから少し辛いけど頑張ろうな」


「………うん 」


いつもなら全力で抵抗する採血なのに、
文句一つ言わないで、すんなりと手を出してくれた。


頑張るっていう意志が伝わってきて、
目が潤ってきてしまう。


細い腕がブルブル震えていて、怖くないわけないよな


結愛の大きな瞳から一筋の涙が伝わるのを見ると、弱っている小動物を見ているようなツライ気持ちになる。


痛いことなんてしたくない…
だけど何もしないのは逆に結愛を苦しめる…


早くお腹の痛みを取り除くために、心を鬼にして、結愛の手を持って血管を探す。