「蓮、私、治療拒否しないから………そんな顔しないで。 お願い…頑張るから 」
「結愛、急にどうしたの ? 」
「だって…蓮、悲しそう………」
自分の無力さに悲しくなっているけど、
それを結愛に気づかれて心配されるなんて情けない。
「どんなに辛くても
蓮の笑顔見ると安心するの………グスン 」
「わかった。ごめん 」
守ってあげたいのに
俺はいつも結愛の優しさに守ってもらってばかりだ。
こんな時だからこそ、悲しんだらダメなんだよな。
結愛の目もとにそっと指を触れさせながら、微笑む。
「蓮…ありがと…少し元気出た 」
弱ったような声が耳にとどく。
キツイのに俺のこと励ましてくれてありがとう。
結愛の手を握ったところで、ちょうど信号機が青になったから、もう一度笑いかけてから病院まで車をはしらせた。
そして、なるべく優しく抱きかかえて、処置室に急ぐ


![お医者さんとの恋[短編]](https://www.no-ichigo.jp/img/member/1110524/xpcqjh5tdr-thumb.jpg)