「蓮、私、治療拒否しないから………そんな顔しないで。 お願い…頑張るから 」


「結愛、急にどうしたの ? 」


「だって…蓮、悲しそう………」


自分の無力さに悲しくなっているけど、
それを結愛に気づかれて心配されるなんて情けない。


「どんなに辛くても
蓮の笑顔見ると安心するの………グスン 」


「わかった。ごめん 」


守ってあげたいのに
俺はいつも結愛の優しさに守ってもらってばかりだ。

こんな時だからこそ、悲しんだらダメなんだよな。

結愛の目もとにそっと指を触れさせながら、微笑む。


「蓮…ありがと…少し元気出た 」


弱ったような声が耳にとどく。
キツイのに俺のこと励ましてくれてありがとう。


結愛の手を握ったところで、ちょうど信号機が青になったから、もう一度笑いかけてから病院まで車をはしらせた。


そして、なるべく優しく抱きかかえて、処置室に急ぐ