その言葉に、私は助けられた。
だって、怖かったんだ。
私は、知っていたから。
幼いながらに、薄々勘付いていたから。
私の母は、ずっと昔から変わらない。
金だけが全ての人なんだって。
後から知ったことだけど、お母さんがお父さんと結婚したのは、お父さんの持っている会社が理由だったらしい。
お父さんが亡くなってしまってから、会社は倒産。
今までたくさん湧き出てきたお金も、今ではもう無い。
そうしたら、お母さんの機嫌はたちまち悪くなった。
家庭のなかの雰囲気は最悪だし、私にまで当たるようになり、一気に、家族が壊れた。
怖かった。
あんなに楽しかった家庭がこんなふうになってしまうなんて思ってもいなかった。
だから、駿だけが私の唯一の救いだった。
駿といればほっとできた。


