ミスアンダスタンディング






その後、講義を全て受け終わってから、みぃが通う大学へと足を運んだ。


「あ、」

ぞろぞろと行き交う人を縫うように正門に向かうと、数メートル先にみぃの姿を見つけた。此方に歩いてくるその姿に手を挙げようとした、その時。

何処からか、ふらりと現れた男。当たり前のようにみぃの隣に並んでは、スマホを操作していたみぃに声を掛けている。


――ピロン。
ポケットの中で俺のスマホが音を立てる。



【講義終わったよ。もう着いてる?】

画面に映るメッセージと可愛らしいウサギのスタンプ。差出人は勿論、みぃだ。


ゆっくりと顔を上げれば、視線の先には足を止めてその男と談笑するみぃの姿があった。


「……」


思い返してみれば、いつも俺からだった。


スマホを壊してしまったお詫びだと託《かこつ》けて、食事に誘った。それだけじゃ足りなくて、何度も二人で会う約束を取り付けた。惹かれる心は止められず、気づいた時にはもう好きになっていた。俺だけのものにしたくて、付き合ってほしいと言った。