(男性27才、会社員)

今日は献血に来た。

学生の頃からの趣味だ。

今日も400ml抜こう。

健康状態のチェックなどを終えて採血室に入る。

いつも通りに献血用の針を入れられる。

これが少し痛い。

でも、それがいい。

血が抜けていく感覚はこのサイズだから味わえる。

献血は15分程で終わる。

この感覚を味わうのも、あと10分程が。

そんな事をTVを観ながら思っていると、不思議なことに気づいた。

何故かTVの番組が1時間あとの番組をやっていた。

あれ?これ先週のかな?録画かな?

でもこの内容は観たことない。新しい奴だと思う。

どういうことだ。

ふと顔を上げるとさっきまでは看護士さんがいっぱいいたのに今は全然いない。

いや、隣のベットにも人がいなくなっている。

わけがわからない。

採血用の針が刺さっているから下手に動く事もできない。

TVに目を戻すとプツッと画面が切れて真っ暗になった。

自分が映っている。

その自分も何か変だった。

画面に映る自分はひどく痩せこけていた。

えっと思い、自分の腕を見ると同じようにやせ細っていた。

そこに針が刺さっているが、血を抜かれているわけではない。

だって針が付いてるチューブが透明だったから。

普通なら自分の血が流れていて赤黒いはずだから。

チューブの元を見るといつの間にか点滴のあの袋と移動するスタンドになっていた。

今自分がどこにいて何をしているのか、全くわからなくなっていた。

そして、意識が遠のいた。