(女性15才、学生)

友達が自殺した。

原因はよくわからないが、死ぬちょっと前から、奇行が目立っていた。

その奇行とは鞄との会話だった。

正確には鞄の中に顔を半分入れ、話しかけていた。

最初は猫か何かを入れてるのかと思ったけど(それでも充分おかしいけど)、そうではないらしかった。

なぜなら、鞄から聞こえてくるのは友達の声だけだからだ。

初めは悪ふざけかと思ったが、その頻度は増えていった。

周りのクラスメイトも最初は笑っていたが、次第に引き、今はもう誰も気にしてなかった。またか、位の感じになった。

私も奇行が始まったら、無視するようになった。

そして、自殺した。

最近、よく思うことがある。

彼女は自分の世界を手に入れたのかもしれない、と。

彼女は元々はバレー部で友達も多く、文化祭でも実行委員長をやっていた。周りからは頼られる存在だった。

家もエリート一家で、家庭教師もついていた。

思えば、彼女は自分の時間がなかった。

自分でも気づかない程ストレスを感じていたのではないだろうか。

なぜ、そんな事を考えたのか。

自分が今受験生で勉強漬けだからだ。家は片親で母は自分の兄弟(私の叔父)にコンプレックスを持っている。

その分、子供の私に期待をかけている。私を自分の見栄のための道具にしているのだ。

いつか、そう遠くない日、私にも鞄から声が聞こえるかもしれない。

私は鞄をじっと見つめる。