(女性16才、学生)

学校からの帰り道。

歩いていると少し先に人が下を向いて立っているのが見えました。学生服の少年は微動だにせず、こちらが近づくのも気にしない様子でじっーと排水溝を眺めていました。

どうしたんだろうと思い、声をかけました。

少年は下を向いたまま「見ているんです。友達がいるんです」と返事をしました。

私はえっ!?と思って排水溝を覗き込みました。人なんていません。
そこには鉄格子の下に水がごうごうと流れているだけでした。

私はキッと少年を睨みつけました。

ホッとした反面、なんて事を言うんだと。

その時、少年の顔を見てハッと息を呑みました。

青白い顔に涙を浮かべて、恐ろしい形相をしていました。

この世のものじゃない。

私は何故かそう直感し、一目散にその場を離れました。

一度振り返ると少年はやっぱりそのまま下を見ていました。こちらを見ていない事に安堵しました。

その後、遠回りですが別の道を使っています。まだ、あの少年がいる気がして。