クマのぬいぐるみ


どうしよう…
結局、彼の家まで来ちゃった。
休日だし、まだ寝てるかな…

散々家の前で悩んだ結果、LINEしてみればいいとひらめいた。

『起きてる?』

すぐに既読がつく。

『うん』

相変わらず、素っ気ないな。
いつも通りでホッとする。

『家行ってもいい?』

やっぱりすぐに既読がついた。

『いーよ』

ちょっとだけ、からかってやろうかな。
私の中でいたずら心が芽生えた。

『家着いたよー』

既読がつく。彼の部屋のカーテンが勢いよく開いた。

『はやいね』

のんきに手を振ってる。

『見えてるなら早くいれてよ!』

部屋のカーテンが閉められ、しばらくしてドアが開いた。

「おそい」

すねたような口調だ。
「入って」と言われて、やっと気づいた。

なんか、いつもと違う。
彼がそわそわしてる。
いつもは無表情なくせに。

彼の部屋は、前に来たときと変わらない。
それどころかキレイになっている気がした。

「もしかして…掃除した?」

「おう」

「…私が来るから?」

「……う」

聞こえないなぁ?
彼の色白な耳はほんのり赤かった。

「…そう、だけど」

「耳、赤いよ?」

彼は知らなかったみたい。
まぁ自分の耳なんて見えないし、知らなくて当たり前だけど。

「…からかうなよ!」

いつもクールで無愛想で素っ気ないくせに、今日はなんか違う。
私は、どっちのキミも好きだよ。なんて言って、からかってやろうと思った。思って、彼の顔を見た。

いつになく、真剣な表情(かお)をしていた。

「ちゃんと、話したいことがある」