ベンチから離れようとしたそのとき。
ふわりと温かいものが触れた。
ふわりというよりはもふもふしていて。
私の頭上にぽんとのっている。
それは、くまの手だった。
たしか…この遊園地のキャラクターだった気がする。
くまの着ぐるみのぽってりした手が、私の髪を撫でる。
温かくて、優しくて、慰めるような手。
そんなに寂しくてたまらなかったのかな。
私の眼から、一筋だけ涙がこぼれた。
着ぐるみのくまはぎょっとして、手を後ろに引っ込める。それから「ごめんね」とでも言うような視線を残して去っていった。
びっくりさせちゃったかな。
そりゃそうか。突然泣き出すなんて。
子どもみたい。
私が帰ったのは、それからすぐのこと。
そのとき、珍しいことが起きていた。
でも、彼からのLINEに気付かない私は、すぐに布団に潜り込んでしまったのだった。



