クマのぬいぐるみ


遊園地に来たのは久しぶりで、敷地内の様子はガラッと変わっていた。新しくできたアトラクションを全部まわった。

疲れた。

「久々だわ~こんな動くの」

疲れているのは佐紀も一緒みたい。
暑さに負けて、ジュースを買いに行く。
私はオレンジジュース。
佐紀はカフェオレ。
飲み物は、意外と性格が出る気がする。

私は、まだまだ子ども。
佐紀はやっぱり大人びている。

彼は、何が好きだったっけ…?
ええっと、たしか…

リリリ。
聞き慣れない電子音が響いた。
あ、私かも。そう言って、佐紀がスマホを耳に当てていた。

「もしもし。…うん。え?熱?…うん」

佐紀が申し訳なさそうにこっちを見た。
私は「いいよ」と口をぱくぱくさせる。

「うん。じゃあ今から行くね」

ブツリと、通話が切れる。

「弟くん風邪でもひいたの?」

「うん。熱出したみたい…ごめんね」

「いいよいいよ。ほら、早く行ってあげて?」

佐紀は急いだ様子で帰っていった。
よっぽど心配なんだろう。
良いお姉ちゃんだな~ってホントに思う。

…人の心配をしている場合じゃない。
どうしようか…
早めに帰ろうかな。
ひとりで遊園地なんて、精神的にだいぶキツイし、耐えられない。