「なにそれ?ありえない…!ついてきて、文句言ってやる!」

まぁまぁ。落ち着いて。
そう言って佐紀をなだめるのは、なかなか大変だった。

「だってさ、彼女からのデートのお誘いだよ?しかも遊園地デートだよ?それなのにバイトあるから無理とか…あいつ!」

敵陣にのりこむような形相で怒る友人に「いいの。用事があるならしょうがないよ」と言うと、私まで怒られた。

「あんたがそんなだから、あいつがつけあがるんだよ!?自覚して!」

彼はもともと素っ気ないのだ。
別に、今に始まったことじゃない。
それに彼に悪意がないことは、私が一番知っているから。

「よくわかんないわ…あんたたちの関係。付き合ってんでしょ?」

「うん」

「うまくいってんの?」

「うん!」

ホントに意味不明だわ…
佐紀はそう言って呆れていた。
私には意味がわからなくて、こくりと首をかしげる。

「なんか…もういいや。遊園地さぁ、私と行こうよ」

気を遣わせちゃったかな…
でも佐紀と遊びに行くのなんて久々な気がして、ちょっと嬉しい。

「うん!」

呆れている佐紀もかわいいけど、やっぱり笑っている彼女の方が私は好き。


休日が、待ち遠しい。