一斉に振り返ると買い物袋を持った凛が目に涙を溜めて入って来た


「彩夢ちゃん!!!」


突然、凛に勢いよく抱きつかれビックリして その身体を受け止める


僅かに震える華奢な身体に腕を回した



「心配かけたね。ごめんね、凛」


泣きじゃくる凛の背中を擦りながら落ち着かせテツの隣のパイプ椅子に座らせた



「…で?様態は?」


呆れた顔で、私達を見ていた輝真がテツに聞いた


「あぁ…左足骨折に、肋骨にひび…全治3ヶ月だってよ」



「まぁ、あれだけヤられて命があっただけ幸いだな」



ふぅ…と息を吐いた輝真は、窓辺にあったパイプ椅子から立ち上がり持って来た雑誌をテツに渡した


「じゃ、俺は今から野暮用があるから 先、帰るな」


そう言うと手をヒラヒラさせ病室を出て行った


「……ありゃ、間違いなく女だな」


ポツリと呟いたテツは輝真から貰った雑誌を紙袋から出しパラパラ捲っている



「輝真って彼女いたの?」


「まぁ…」


意外な事だったので聞き返すと、チラッと陸斗に目配せたテツは言葉を濁した


陸斗は表情を崩さずテツを見ていた


………聞かない方がいいのかも



それ以上、聞く事もせず他愛のない話しをしていた