私は座り込んだまま、その光景を見ていると陸斗が手を差し伸べて立たせてくれた
ふと口元を触られると鈍い痛みが走る
「イタッ」
「切れてるな、アザになるかもしれねぇ…」
そう言いながら顔を覗き込まれて整った綺麗な顔が視界いっぱいに広がった
鼓動が早くなっていく
今の状況から何とか逃げ出したくて俯きながら聞いた
「そ、そう言えば…何でここが分かったの?皆は?」
「あ?何でって…お前の友達からテツに連絡が入って、テツが大慌てで言いに来たんだよ。輝真達は溜まり場で例の件を調べている。っつか、ビックリさせるなよ」
ハァ…と盛大にため息をつかれ抱き寄せられた
突然の事で頭が真っ白になるけれど私の心臓は高鳴るばかり
カァと熱が上がり真っ赤であろう顔を見られないように陸斗の胸に埋めた
『くつろぎの場』へとやって来た私は中にいた凛から抱きつかれた
「心配したよー!遅いから様子見に行くと、彩夢ちゃんったら連れて行かれてるし!」
「心配かけてゴメン。でも大丈夫だったよ!」
「怪我してる…殴られたの?」
大きな目に涙をいっぱい溜めて声を振り絞ってる
「うん。でも、凛のお陰で陸斗が助けてくれたから。だから…ありがとう」
ついに その大きな目から涙が溢れ出す
結局、午後の授業はサボってしまった



