放課後、帰る仕度をしていたら廊下が騒がしくなった


「彩夢、帰るぞ」


「凛ちゃん、菜摘ちゃん迎えに来たぜぇ」


教室の中は女子の黄色い声と男子の雄叫びが鳴り響いている


この状況から早く抜け出したくて、菜摘と凛の腕を引っ張り教室から出た


「彩夢ちゃん、私達も一緒によかったの?迷惑じゃない?」


後ろから付いてくる凛が耳打ちしてきた


「ん?大丈夫なんじゃない?」


ただテツが来てほしいだけだと思うんだけどね



「ねぇ、それより…何処に向かってんの?」


菜摘が首を傾げた


「あ、そうだ……凛、菜摘、門限ってあるの?」


遅くまで連れ回すのも申し訳ないから門限があれば それまでには帰さなきゃ…


「門限って程でもないけど、日付け変わるまでには帰れば大丈夫。」


「私はいつ帰っても大丈夫!」


菜摘は そう言っているけど…普通の親だったら心配するだろうから、凛と一緒に帰ってもらおう


「そっか!じゃ、帰りは誰かに送るよう頼んであげる!ちなみに…誰がいい?」




すると隣の凛はみるみる顔がリンゴみたいに赤くなる



「………だ、誰にも言わない?黙っててくれる……?」


真っ赤な顔で言う凛は、女の私でも抱きつきたくなる可愛さがある


こんな顔をテツが見たら鼻血もんだろぅな……


「実はね……」


蚊が鳴くような声で その人の名前を告げる


「「ええぇええぇぇ!?」」


二人で思わず声を上げる

「しー!!声が大きいよ!」


前を歩いている集団を気にする凛に『ごめん』と軽く謝る


だって、まさかの…テツ!クマさんみたいに
まん丸体型のテツだよ!?



隣では菜摘は陸斗先輩がいい!と騒いでいる


綺麗な菜摘から言い寄られたら陸斗も嬉しく思うのかな…


そんな事を考えると胸がズキンと痛くなった