バンッ
「田辺組長、困ります!今、来客中なので お帰り下さい!!」
「誰に指図してんだ!!どけや!」
勢い良く開かれた扉から現れたのは太った年配の男性と、すらりと背が高く綺麗な若い女性が止めに入った組員さん達の手を振り払い部屋の中へ入って来た
「結婚を申し込みに来てみたら、玄関先の下っ端が玖賀の次男坊が婚約者を連れて来たと言っていたんだが?一体どういう事だ?!」
凄い剣幕で詰め寄って来る
陸斗と陸斗のお父さんは鋭い目つきで相手を見据えた
「おや?屋敷に入る前に、その下っ端から息子と客人が来ているから日を改めるよう言われませんでしたか?」
田辺さんはブルブルと怒りに震えて今にも陸斗のお父さんを掴みかかる勢いだ
「日を改める?結婚は、ウチの美華(みか)としてもらう。そう話しただろ!」
「そうよ!陸斗さんと結婚するのは私よ!」
そう言いながら美華さんは私の腕を掴んだ
「こんな女のどこが良いって言うの?」
掴んだその手に、グッと力が篭もる
「痛…」
女性にしては強い力だ



