……でも
「私は…一度 陸斗と離れた時があったんです…忘れようとしました。でも、ずっと心の中に陸斗がいて毎日が辛くて……結局、忘れるどころか逆に想いが強くなってしまいました。再会した時は、もう二度と離れたくない。そう思いました」
陸斗のお父さんの目を見て、深く呼吸する
「陸斗は、地獄のような日々から私を助けてくれました。そして心を救ってくれました。生きる喜びを教えてくれました。まるで暗闇の中に一筋の光を見たかのようでした。私には、もう陸斗しかいないんです。……いえ、陸斗じゃなきゃ駄目なんです。だから。お願いします、側にいさせてください」
両手をつき頭を下げた
背中に温かくて優しい手が添えられる
「あなた、もう良いじゃない。覚悟がいるのは分かるわ。私だって一般人だったのよ?だけど一番大切なのは相手を想う心でしょ?外見だけじゃなく、陸斗自身を知って、こんなに想ってくれてる。それで十分よ。さ、頭を上げて」
体を起こすように促され、顔を上げると陸斗のお母さんが優しく微笑んでいた
「はぁ…全く。雪乃が気に入ってしまったんなら、これ以上 何言っても無理だな。いいだろう、結婚を認める」
ピリッとした空気から柔らかな空気に変わって、やっと肩の力が抜けた
「ありがとう、ございます」
気が抜けたと同時に堰(せき)を切った様に溢れ出る涙は止める事が出来なかった



