「辛かったわね…」
そっと肩に手を置かれハッとして顔を上げると陸斗のお母さんが心配そうに除き込んでいた
「過去は消えない、その過去があるからこそ今のあなたがいるの。でも、もう大丈夫。これから先は陸斗があなたを幸せにしてくれるわ」
優しく抱きしめられる その感覚は、ずっと昔の母親のそれに似ていた
そして何故か泣きたくなった
「さて、本題に入ろうか。単刀直入に言う。彩夢さん、陸斗と結婚すると言う事は裏社会に入ると言う事。もう、一般人として生きられない。そして、いつ何処で命を狙われるかわからない、そんな危険な世界だ。君にはその覚悟はあるのか?」
陸斗のお父さんは私を鋭い目で見据えて『やめるなら今しかない』と言わんばかりだ



