突然、項垂れて前髪をクシャリと握った
  
 
「あの女が……マジか」


陸斗は、はぁ…とため息をつき下から見上げる様に顔を上げた


「彩夢…先に謝る。確認しなかった俺が悪かった。でも、もう後には引けねぇし、どうにもならねぇ」



陸斗は一体、何を言っているんだろう?


首を傾げて次の言葉を待つ


「あの女…、彩夢の姉とは知らなかった。時間がなかったとは言え、ちゃんと調べるべきだった」


グッと両手を握りしめ意を決したかのように正面を見る


「菜摘とあの女…お前の姉は俺の兄に頼んで、実家が経営している風俗店に沈めた。あいつらは自由に行動する事さえ制限されてくるから、もう会えないかもしれねぇ」



「……そう」


予想外な事だったけど、不思議と冷静に受け止められた


それなら、それでいい
義姉がどうなろうと…私の知った事じゃない


そんな事を思う私は冷たい人間なんだろうか


そんな最低な女、陸斗は嫌うだろうか


「……怒らないのか?俺は、お前の身内をヤクザに売り渡したんだぞ」



「……別にいいよ。元々、他人だから。母以外、家族って思った事は一度もないし。はっきり言って……どうでもいいの」


真っ直ぐ陸斗の目を見て答えた


「…こんな私は人として最低でしょ?」


そう言って自嘲する



軽蔑されるだろうと思った…



「彩夢が最低なら、俺はどうなるんだよ」


フッと笑って、私の頬に優しく触れた



「ふふ…一緒だね」



「あぁ、そうだな。彩夢…側にいるから、もぅ少し休め」

 

そうして再び瞼を閉じた