数時間して外に出ると、柄の悪い集団がたむろっている


「あれ、暴走族だよ。最近、多いのよね。よくウロついてるから気をつけな」


横目で集団を見ながら酒井さんは耳打ちしてきた


ドクンと跳ねる心臓を落ち着かせる様に胸に手を当てる


「でも…噂じゃ、あの暴走族って隣の県から来てるって話し。こんな田舎に何の用があるんだろうね」


酒井さんの話しを聞きながら、工場長が外に出て来るのを待っていると「ねぇ」と声を掛けられた


酒井さんが相手をしてくれてる間も私は俯いたまま顔を逸してると、一人の男が覗き込んできた


「あんた……如月…彩夢、だよな?」


ドキンと心臓が跳ね「違います」と答えようかした所で、背後のドアが開いた


「おい!お前ら、この子達に何の用だ?」


工場長が私達の前に出て庇ってくれた


そして、そのまま駐車場へ行き車へ乗り込んだ

「さっきのヤツ、彩の名前 言ってなかった?でも、如月って言ってたね?」


「え?きっと人違いですよ。私、堀川だし」


「そーだよね、でも こんな田舎で人探しかぁ…すぐ見つかりそうだけどね」


動揺している顔を見られない様に流れる景色を見ていた