暗闇の先に…


駅内の隅にある求人情報誌を手に取ると、パラパラ捲ってみる


すると、一つの求人に目が留まった


『急募、高校生〜50歳、未経験者歓迎…住み込み可(応相談)』


「住み込み……これだ!場所は…隣の県か」


電話をしてみると この後面接してくれる事になった


急いで履歴書を書き、指定された所へと向かった


面接場所に着いた頃には空の月が優しく光を放っていた

工場の事務所に着き、事務員さんに話しをすると応接室へと案内された



暫く待っていると眼鏡をかけた白髪混じりの男性が入ってきた


「こんばんは、工場長の田代です」


名前を母の旧姓の堀川と名乗り、母子家庭だったけど 数カ月前に母が亡くなったと嘘をついた


優しそうな雰囲気の人で、私の話しも親身になって聞いてくれた


「それは大変だったね、行く宛がないなら特別に採用しよう。寮だから家賃と光熱費は払う必要はないからね。家具や家電製品とかも完備してるから何も心配する事はないよ。食事は各自で準備してもらう形になるけど…いいかな?」



「はい!大丈夫です。ありがとうございます!」


工場長の計らいで、早速 寮へ案内してもらい実際に働くのは来週からになった