ポツンと一人残された私は、何故か虚しい気持ちになった



その気持ちは以前ずっと感じていた感覚…
そぅ…陸斗と出会う前の感覚


一人でいるこの広い空間が何だか居心地が悪く感じた私は、部屋に戻ると携帯と財布だけ手に取りマンションを後にした



繁華街の真ん中にあるマンションだから、外に出ると夜なのに賑やか。そんな中、人混みの中をフラフラと歩いていた


一人で居たくなかっただけに、賑やかな街中は少しだけ私の気持ちを紛らわせてくれた



凛に連絡しようか迷ったけど、テツのお見舞いに行ってるかもしれないからやめた




宛もなくウロついていると…「彩夢!」と後ろから声が聞こえた


振り返った私の目に飛び込んできたのは仲良く寄り添うカップルの姿


「久し振り!元気してた?」


ニコニコと笑うその顔が とても懐かしくってポロリと涙が溢れた


「何、泣いてんのよ?!彩夢ったら、大袈裟!そう思わない?ツッチー」


ケラケラ笑って彼氏に話しを振る穂乃華


「久し振りで感極まったのか?如月」



相変わらずの2人を見て気持ちが落ち着いていくのを感じた


暫く立ち話しをして あんまり遅くなると せっかくの二人の時間を邪魔してるようで申し訳なくって「またね」と別れを告げる


トボトボとマンションに戻って来て、カギを開け中に入ると部屋は真っ暗…


まだ誰も帰って来てなかった