新 発 売【短篇】


昨日初めてこれに出会い、カップルが買って行った時の事を思い出した。

そういえば、女がシャカシャカとやってたな……

パッケージには不思議な事に、商品名と天使の羽のような絵しか記載がない。

少し気味が悪いながらも、好奇心は抑えられない。

女が買ったのは確かに『最低DAKARA』だった。
僕もとりあえずは真似をして振ってみる事にした。

シャカシャカ…シャカシャカ……
シャカシャカ…シャカシャ

あっ!!!………ポチャ……

振りすぎた。

『最低DAKARA』は手から滑り、目の前を流れていたドブ川に躊躇なくダイブ。吸い込まれるように去っていった。

「さ、最低ダカラ……」

全てがどうでもよくなった。
全てが嫌になった。
もう探し回る気力さえなかった。

トプトプと消えゆく真っ黒な缶は、ドブの色と上手く重なり、すぐに一体化して見えなくなった。

俺は『ラムネ(風味)』を一気飲みし、空き缶をドブ川へ投げ棄てた。

「やっぱりラムネ風味だから、ラムネじゃないか……」