そんなことを二人が話している間にも、線香花火は松葉からあっという間に柳に変わり、今はちり菊となっている。そしてポトリと同時に花が消えた。

「消えちゃった……」

「花火、これで全部おしまいだね」

時間が経つのが早すぎて、結菜は驚いてしまう。もう遅くなってきた。そろそろ帰らなければならない。でもまだ夏未といたい。そんな思いがグルグルと結菜の中で回っていた。

「明日はさ、朝からうちで遊ぼうよ!一緒にお昼ご飯も作って食べよう?明日はお母さんたち夕方までいないから。だからそんな顔しないで」

夏未に優しく頭を撫でられ、「うん、じゃあまた明日来るよ」と結菜は笑う。明日は何をしよう。二人で借りてきた映画でも見ようか、それともお喋りをしようか、寂しい気持ちがわくわくする気持ちに変わっていく。

二人が一緒にいられる時間は少ない。しかし、どれだけ離れても二人の友情は線香花火のように消えていったりはしないのだ。

「いつかまた、必ず会えますように……」

二人の夢を乗せて、夏の夜は過ぎていく。