渋々、準備室の扉の前まで行く。

控えめにノックをすると「どうぞー」と

声が聞こえてきた。

「失礼します。桐生先生手伝いというのはなんですか?」

早く終わらせて早く帰ろう。

つい早口になってしまう。

「そう焦らすなよー」

と言いながら、紙の束をドサッと目の前に出された。

「これ、大変だと思うけど綴じるの手伝って欲しくて」

1番上にある紙を見るとクラスの子の名前とその子の苦手な分野の問題が書かれていた。

下をパラパラっとめくっていくと、クラスの子達全員の名前と、それぞれに合わせたプリントだった。

「全部先生が作ったんですか?」

無意識に聞いていた。

「そりゃ数学の先生だし?少しでも手助けになればいいじゃん?」

と当たり前のように答えた。

正直遊んでいるようにしか見えなかったから、真面目に先生をしていて少し驚いた。

でも、皮肉しか言えない私は

「紙の無駄ですね」

なんて言ってしまい自分の口を恨んだ。