ビッチは夜を蹴り飛ばす。



 合わせた目に熱が灯ってるのがわかってすぐさま逸らした。なんか、やばい。そこでベランダの柵を持って立ってた硯くんが後ろからあたしを会場から隠すように立って、そのまま柵を掴んだあたしの手に硯くんの手が重なった。

 あったかくて、それだけで鼓動が少しだけ速くなる。

 親指があたしの手の甲を愛でるように撫でながら頬や首の後ろに短いキスが降ってきて、それに逐一跳ねてたら瞬間こめかみをべろ、と舐められた。


「…子どもだと思ってるやつにこんなことしない」


 だめ、こんなとこで絶対、そんな、だめなのに。

 する、とショートパンツに潜り込んだ手が柔く動くうちすぐに濡れた音をもたらして、もう全部知り尽くした硯くんの手が弱いとこを刺激して動くから勝手に腰が少しだけ動いて、すぐ横にある硯くんの顔に(すが)り付く。


「ぁ、だ、めっ…」
()じゃなくて?」


 軽く笑みを浮かべた唇に試すように訊ねられて、視線を逸らしたらちゃんと見て、ってまた熱い視線に囚われて高くて情けない吐息が上がってく。


「も、ゃっ…、すず…く」

「ん?」
「もう…、っ」

「スズリー?」


 一瞬で肝が冷えた。真後ろから届いたジュリアンの声に硯くんだけがのんびりと振り返る。


「はい?」

「あんたたち中はいんなさいよー、せっかくのパーティーだってのに、メイも」

「酒飲みすぎたから風に当たってんです」

「あんたそんな飲んでた?」


 まぁいーわ後でちゃんと中来なさいね、って遠ざかってくジュリアンの声がしてばくばくばく、と心臓が飛び出そうになる。吐き出す息は震えるのに、あれ、え、うそなんで。

 あふれて、太腿に垂れてしまった愛液を指でつー、と下からなぞられると耳朶に唇がぴたと触れ、甘くて低い声に吐息まじりで犯される。


「…見られて興奮してんの」

「…っ」
「この淫乱」


 愛液をちゅ、と舐めてから、霞んだ瞳で息を吐くあたしに硯くんは微笑んだ。

 
















 後ろから激しく突かれてうぁ、ぁ、ってさっきから泣いてるみたいな声が出る。

 びくって跳ねてヒクつく度あたしの弱いとこ徹底的に攻め立てて達しても終わらせてくれない動きに翻弄されて、ホテルのベッドに上半身だけを押しつけて唾液も涙も目の前のシーツに垂れ流して縋り付くようにしてたらくぐもった視界でめい、って声が降ってくる。

 声だけで疼く。見られてるだけで達する。肩越しに少しだけ見上げた先で呼ぶ硯くんの声が熱っぽくて、冷たい目に興奮してん、って渇いた喉を潤すために息だけを飲み込んだらそのタイミングで抉るように突き上げられて悲鳴が上がる。