対するわたしは、日の光を浴びるのが大好きときている。

顔で腕で、ビタミンDが合成される快感。
殺菌滅菌。
ウイルス除去。

そのおかげか、わたしはこれといった大病をしたこともない。
当然、わたしは、よく言えば黄金色の健康的な肌をした元気印の女子。
悪く言えば、男か女かわからない、色気のイロもない女。
髪だって、頑張ってボブまでだった。

姉はきれいだね、かわいいね、お母さん似だね、と言われ続けていた。
美人で評判の母に例えられて、姉のかおりは本当にうれしそうだった。

わたしには、元気だね、男の子のようだね、お父さん似かな、と言われ続けた。
そして、わたしには大人たちが言わなかった言葉が聞こえる。

お姉さんのように、お母さんに似たらよかったのに、残念だね。

だけどそのころは、まだ、自分のことを運の悪いヤツだとは思っていなかった。
わたしの順風満帆だと信じていた人生は、猛アタックして付き合うことになったサッカー部の彼を、有頂天になった勢いのまま、姉に紹介した途端、振られてしまったことからあやしくなる。
手に入れたものが、するりと簡単に抜け落ちてしまったショック。
天国から地獄へ叩き落とされた。
ショックで三日学校を休んでしまった。

その後、サッカー馬鹿は、姉に告白して撃沈したという噂を随分後になって耳にするが、もう、彼にはなんの未練もなかった。


「なあ、お前山吹かおりの妹だろ?」
「わたしは、妹の、山吹さくらよ?それが何か?」
「なら、かおりさんに、これを渡してもらえないか?」