久々に幸せが訪れた。

そんな気がした。

愛斗がウチのクラスにやってきて約1ヶ月―――

『宝生さん―――

俺と付き合ってくれない?』

「・・・ぇ?

私は杏梨だよ?

愛梨じゃないよ?」

『?

当たり前じゃん。

君は、愛梨じゃない。

杏梨だろ?』

「!!」

嬉しかった。

本当に嬉しかった。

私はいつも、愛梨と一緒にされてきた。

でも、いつも要領もよくて性格もいい愛梨がいつも上にいた。

いつも、私は愛梨の影だった。

顔は同じなのに…

何回そう思ったことだろう。

それなのに、この人は愛梨じゃない。

私を・・・杏梨を見てくれた。

本当に初めてだった。

「ヒクッ・・ヒク・・・」

『えっ?!ゴメン・・・そんな嫌だった??』

あんなにも明るくて、自信がある人がオロオロしている。

可笑しかった。